配管の水漏れが気付きにくい理由
配管の漏水は戸建ての場合とマンションとでは気付くスピードが違います。
マンションの場合は床下配管の漏水が起きるとほぼ短時間で階下に漏水被害が生じます。それによって補修工事がすぐに行えますが、戸建ての場合で特に配管が地中に埋設されている部分での漏水は目視では確認できないため、なかなか気付かないケースがほとんどです。
配管の漏水が起きる原因とは?
地中に埋設された配管も建物や他の設備と同じで時間の経過と共に老朽化していくものです。 特に配管は建てられた年代によって、施工方法や配管の材質も違ってきます。古い住宅の場合、水道管に鉄管を使用している場合もあります。
以前のブログでも触れましたが、鉄は酸素の影響で酸化しやすく錆やすいものでもあります。他には鉛管を使用している建物もあります。
特にジョイント部分は腐食による破損が起きやすい箇所で小さな亀裂が徐々に広がっていく感じになります。また地盤沈下や地震の影響もあり、埋設配管が損傷して漏水が始まるケースもあります。
露出配管の場合は冬場においては凍結による配管破裂が起きてしまいます。
露出配管には大抵「保温材」が施されているはずですが、経年によって剥がれたり雨風でボロボロになってしまうことが生じます。そのため配管が剥き出し状態になり、気温が極端に下がった時点で凍結してしまうことが起きています。こちらも参照➡;配管凍結
漏水が分かるのはなぜ?
一番多いパターンは水道検針員による指摘です。
2ヶ月毎に水道メーターの検針があります。
その際に上下水道の使用量を測る訳ですが、毎月平均した水道使用量よりも極端に増えている場合、また水道メーター内の「パイロット」がクルクル回っている状態ですと時折訪ねて確認してくれる場合もあります。
異常が見られれば検針員が住民に報告してくれます。その際に「漏水修繕連絡票」なるものを渡されて修繕工事を行うよう薦められます。
この「漏水修繕連絡票」はハガキタイプのものがほとんどですが、修繕した日や場所を記載して(該当項目に〇)指定工事店の登録番号や社判を押して水道局に返送します。それによって漏水した際の水道料金を免除あるいは還付するようになっています。ただし各自治体によって違いがあるため要確認です。
次に水道料金が高くなっている事で気付くパターンもあります。
「水道料金のお知らせ」の紙がポストに投函されていますが、見るといつもの2倍から3倍になっていて、びっくりして水道業者に調査を依頼される方もいらっしゃいます。当然目視で分からない箇所の漏水がほとんどで水道業者でもすぐに見つけられない場合もあります。
可能性の中にはトイレのタンクの水漏れがあります。この場合も徐々におかしくなって水漏れしていくため徐々に水道料が増えていきます。このため料金の推移が少ないため気付きにくいことがあります。
世帯数が変わっていないの半年前あるいは1年前と料金が倍になっているとなれば漏水を睨んだ方が良いかと思われます。もしも?と思われる方はこちらも参照ください。→ トイレ水漏れ 水漏れ 水漏れ
配管漏水の修繕方法
埋設配管の場合は、漏水箇所が特定できればその地面を掘削して配管を露出させます。
それから漏水箇所を特定し、補修工事を行います。上で取り上げた鉄管の場合は、少し手間がかかります。継手部分を探し、継手と継手の間のねじ込みを外して新たに配管を組みます。
塩ビ配管の場合はある程度簡単に補修できます。漏水部分を特定したら、その箇所を切断してソケットを糊付けして繋ぎ合わせるだけです。
水道屋さんは経験から簡単に作業しているように見えますが、配管の取り回しや経路などをよく調べて補修しています。継ぎ手の取り付け方を間違えると屋内の水道の何処かが「水が出ない!」というような事態になります。ご自分で補修工事をなされる場合はご注意を。
塩ビ用の接着剤も普通のグレー色の塩ビ管(VP)用と黒色の硬化塩ビ管(HI-VP)用のものが違います。水道屋さんなら分かりますが、一度接着するとやり直しが効かないため、1回で決めなければなりません。
時折、スケールで測ったにも関わらず長さが合わずやり直すということがありますが、材料が再利用できないため全くの無駄になってしまいます。失敗が続くと用意していた材料や継ぎ手が足らず改めて調達しなければならなくなり、時間のロスが発生してしまいます。配管の組み方も寸法を良く計算しなければなりません。
マンションの配管補修の場合
マンションなどの住宅の場合は、床下の配管の補修になります。但しどこから漏れているかは階下の部屋のどのあたりから漏れているかで調査します。例えば洗面所やリビングや台所の天井からなのかをリサーチして直上の配管から調べていきます。
「直上に水回りの設備が無い」場合はどうやって漏水を突き止めるのでしょうか?
天井裏も完全に平行になっている訳ではありません。微妙に傾斜があり、漏水した水が傾斜に沿って自然に流れて行きます。まずは漏れた天井部分を開口してどこから漏水しているかを特定します。天井裏が見やすければ水が垂れているポイントを見つけることができます。
床下の場合はどうするのか?
床がフローリングであれば、どこかを開口させていただいて調べます。点検口があればそこを使って確認できます。但しマンションの場合は複雑で漏水している配管からかなり遠い部屋の天井から漏れて来る場合もあって、数か所を調査しなければならない場合もあります。
給水管なのか給湯管なのかも突き止める必要があります。
古いマンションであれば戸建ての場合と同じように配管の材質によってやり方が変わってくるかもしれません。漏水箇所の一部分だけでは駄目で、もしかすると部屋全体の配管を引き直す必要も生じてきます。
給湯器からの配管や付近からの水漏れも起こり得ます。給湯器自体が古いと本体からも水漏れしてくることがありますので、10年を過ぎていれば給湯器も見直す時期と思われます。
そうなってくると大工事になりますね。築年数の古いマンションをリノベして住む場合は上記のリスクを計算に入れておくとよろしいかと思われます。工事の場合はオーナーマンションでも管理組合の規定がありますので、それの沿った修繕工事を行う必要があります。
まずは管理規約などを見返したり、常駐の管理人が居れば尋ねてみられるとよろしいかと思われます。工事のための決まりや申請書などの提出が求めれられる場合もあります。
また上下左右のお部屋の方々にも挨拶しておく必要もあります。自分勝手に工事は出来ないことが多いようですのでご注意を。
丈夫で長持ちする配管
配管技術も日々進歩しています。
最近では塩ビ管よりも簡単で丈夫な「ポリエチレン管」(通称ポリ管)が登場しています。
何がいいかと言えば塩ビ管のように配管を組む必要が全くないところです。いわばホースのように自在に這わせて設置できます。劣化しにくく長持ちします。耐久性に優れています。特に施工業者側にとって工事しやすいことが挙げられます。これまでの施工は建物の構造によって大きく左右されてしまいましたが、この「ポリ管」は配管が通るくらいの隙間があれば自由自在に這わせて行けるので計算しやすいです。
しかし!ただ一つ難点なのは費用がかなり高くなることです。材料費が高まれば当然請求金額も高くなります。支払う側が低コストを重視するのであれば従来の配管施工が選択されてしまうかもしれませんね。
こればっかりは、費用を取るか耐久性を取るかの判断になりますね。マンションの築年数や今後の住む方のライフスタイルに合わせて検討していけばよろしいかと思います。
リノベーションして賃貸物件とさせるのであれば長持ちする方をお勧めします。安価な素材で何かが起きれば修繕費用の方が高くつく場合があるからです。
配管漏水は起きてほしくありませんが、現実として起きてしまうものでもあります。起きてしまったらどのように対処していくべきかをよく検討して工事を手配しましょう。当然工事期間中は水が使えなくなる場合がほとんどですから、その時期を何処で過ごすかなども考えておく必要もありますね。
悪徳リフォーム業者にはご注意を
中には営業では感じの良い対応でも、工事する作業員は実際には下請け業者か孫請け業者となっている場合が多いようです。個人で小さな経営をしている工事店も多く、かなり安い値段で請け負うためなるべく費用が掛からないような工事を行う可能性があります。
そうなると突発的な工事の変更には対応できません。例えば、配管工事に伴いフローリングやCF(クッションフロア)などを変更したいとか、配線やコンセントの位置を変えてほしいとか依頼しても対応できません。請け負い項目に無いからです。
そうなると工事が一時ストップになり、工程が変更になったり、金額で揉めれば逃げてしまう業者もいるのです。中途半端な状態で投げられても大変困りますね。
リフォーム業者の質はなかなか見抜けないかもしれませんが、工事をする前によく話し合って契約事項に生じ得る事態についても含めていただくのが良いかと思います。断るようなら止めておきましょう。納得いかないことがあればすぐに支払いをしないことが賢明です。
記事更新日2019年11月14日