トイレの水が流れない?レバーが動かない?
突然どうしたのか分からないけど水が出なくなってしまった!というケースには「防露材」が原因という場合も少なくありません。
防露材とはいったい何でしょうか?
こちらを参照ください➡トイレのタンクの結露が激しくなるのは何が原因? 読んで字のごとくタンクにできる露を防ぐためのものです。以前のブログでも取り上げましたが、今回も最近対応した事例を取り上げて解説したいと思います。
場所は賃貸マンションの1室で、小さなお子さんがいるご家庭でした。トイレが使えずに困っている様子で、すでにトイレタンクの蓋が開けられた状態でした。伺って案内されてタンクを覗くと…
既にこんな状態でした。(波打って見える部分)タンクの内側にある防露材がめくれてボールタップやフロートバルブを圧縮しているような状態でした。なぜこんな状態になってしまうのでしょうか?
タンクは陶器です。その内側に施されている防露材のウレタン素材(発泡スチロール製もある)を糊などで張り付けています。しかし長年の使用でこの陶器と防露材の隙間に水が浸入するようになります。
隙間から侵入した水は徐々に増えていき、防露材を剥がしていきます。こうなると後は徐々に防露材が内側に膨らんでいきボールタップやフロートバルブの動作を妨げてしまうのです。
こうなったらどうすればいいのか?
これらの症状は「経年劣化」のしるしです。すでに限界になっていると判断できます。
一番いいのは便器を交換することです。
なぜなら15~20年以上ご使用の便器がほとんどですが、上記のタイプのタンクはすでに廃番品となっており、製造もされていなければ在庫もありません。それで便器も含めての交換が望ましいと言えます。しかし、便器を交換するとなるとそれなりの費用がかかります。
今すぐにとはいかない?・・・何とか使えるように応急処置ができないのでしょうか?・・・
できます!
応急というかしばらくはお使いいただけることが可能です。
その方法とは?
「変形した防露材を切り落とすことです。」
膨張した防露材はもはや正常な状態には戻りません。自然に変形が直ることもありません。そうであれば、ゆがんだ防露材の部分を上手に切ってあげればしばらくは正常動作を行わせることができます。
作業しずらい場合はタンクを外して行うことが出来ます。(外さなくても切除は可能)幸い内部金具に異常がありませんでしたの、単純に変形した防露材を除去すすることが出来しました。全部剥がさなくても大丈夫です。ついでに密結ボルト(タンク底のボルト)などを増し締めしておきましょう。
カッティングしましたら元に戻しましょう。このようになります。幸いボールタップやフロートバルブ、サイフォン管などは破損していませんでしたのでそのまま使用していただくようになりました。
最後にタンクから水漏れして来ないかチェックしましょう。万一タンク下部より水漏れするようでしたら諦めて便器を交換してください。それしか手段はありません。
タンクの蓋を開けて見る?
「タンクの蓋を開けて中を見たことがない・・」という方も多いかと思われます。
この機会に一度点検してみるのはいかがでしょうか?ただしここ10年未満のトイレの場合は問題ありません。すでに内容器型になっているからです。この場合は防露材は使用していません。
タンクの蓋を開けるのには注意も必要です。大抵ボールタップの手洗い管につながるホースで繋がっていることが多いため、むやみに引き抜くと外れたり切れたりしてしまいます。まずは蓋を少し上げて連結具合がどうなってるのか、確認してください。
また蓋は簡単に持ち上げられたとしても、戻す際に、ただ置いておけばいいタイプと管を差し込まなければならないタイプとがあります。この違いを無視してしまうと外部に水漏れしてしまう事態が起こり得ます。
更新日:2020年8月11日