マンションの立体駐車場の浸水にご注意を

台風や豪雨の際に気を付けること

 

 

2019年の台風19号は家屋や道路の浸水や土砂災害など多くの爪跡を残していきました。政府の発表(10月14日)では約37万6000戸停電しており、約1万4000戸断水しています。想定外の降水量が年々更新されていく時代となり自然災害の不安が増大しています。

しかし、何もしないでいるともっと被害が拡大してしまいます

特に低い場所への浸水が多くの被害を与えてきます。

たとえ自宅がマンションで問題ないとしても盲点があります。それは「立体駐車場」または「機械式駐車場」です。特に上に上げるタイプではなく下に下げるタイプの場合です。

なぜ注意が必要なのでしょうか?

 

 

水は高いところから低いところへ流れる

自然の法則でもありますが、川が山から海へ流れ出るように、高い場所から低い場所へ水は流れて行きます。住宅街の道路で言えば側溝の排水口やマンホールがそうです。下水道を設けて雨水が水路を使って流れ出るようにしています。

住宅で言えば、地下室がそうです。そしてマンションで言えば地下の駐車場などがそれにあたります。低いところはすべて水が流れて行く場所になってしまうのです。

 

 

しかし、それは想定済みで予め「排水用ポンプ」が緊急時に作動するよう設置してあることがほとんどです。(個人の戸建住宅は任意)立体駐車場のパレットが収納される地下も同じく雨水用の排水ポンプが設置されています。

時折点検業務が行われる際には、こうした設備の作動点検なども行うところもあれば、管轄外として行わないこともあります。つまりマンション側の管理責任としている場合もあるのです。

数十年に一度の災害級の台風

 

 

今回の台風は報道でもかなり危険度が高いカテゴリーのものと伝えられてきました。首都圏の道路の排水能力はこのところの雨量に適合していないものと言われています。つまり雨量が想定外であるために予想していた排水設備では賄いきれないということになります。

機械式駐車場の排水能力はどうなのでしょうか?

 

スペースや降水量にも差が出ますが想定外の雨量になれば当然ながら排水処理が追い付きません。

そうなると地下型の立体駐車場の場合は、車もろとも「水没」する危険があり得ります。

こういった場合の浸水は気付いてから対処しても間に合わないことが多く、水没してしまう可能性が高まります。タイヤの高さ30Cmまで水位が上がると「マフラー」から水が侵入してしまいます。そうなるとエンジンがかかりません。

水没した車はどうなるのか?

 

 

よくニュース番組で冠水した道路で水没した車を見ることがあります。その度に「水没してしまった車はまた乗れるのか?」と疑問に思うことがあります。実は水没度合いや車の状態によってパーツの取り替えで乗り続けられる場合もあるようですが、ほとんどのケースは「廃車」になります。

つまり、もう乗ることができなくなります。

なぜなの・・・?

ご存じの通り、最近の車はエンジンをはじめ、ほとんどの重要箇所が電気制御されています。つまり電気部品水の侵入に非常に弱いものとなっているのです。防水機能のない携帯やスマホを水没させてしまったことがありませんか?私はあります。( ;∀;) 一度浸水してしまうと回復は極めて難しくなってしまうのです。

ただし!救いはあります。

それは「車両保険」に入っている場合です。

 

これは一般型でもエコノミー型でも共通しているようですが自然災害による「水害」にも適用されます。もし水没して「全損」扱いになると保険金額の全額が支払われることになっています。つまり免責金額(自己負担額)が引かれません。

しかし、保険金額以上の保険金はおりません。

ご自分の車両保険が200万の車の修理費用に設定していれば、全損扱いになれば全額の200万が支払われます。と言うことは車の購入金額や修理費用が200万以上だった場合は、同等の車両を購入される際には超過分は個人負担ということになってしまいますね。

車両保険の金額やどんな特約が適用されるのか、この機会にぜひお確かめください。詳しくは保険会社の担当者にお尋ねください。

事前に予防対策をとりましょう!

事前に予防策を講じておきましょう。面倒でも台風や豪雨が心配される場合は、機械式駐車場から出して高い場所にあるパーキングに止めるようにしてください。パーキング代はかかってしまいますが、愛車が水没するよりはましです。

 

 

なるべく高台になるパーキングが望ましいです。低地ですとそのコインパーキングも危なくなります。立体のコインパーキング場などがあれば安全ですね。

マンションではパレットを上げておくこともできますが、他の所有者の方の同意が必要です。中には途中で使用しなければならずパレットを動かさなければならないことも起こり得ます。

 

 

機械式駐車場の操作時の危険とは?

ただし!してはいけないこととして自分1人でパレットを動かして点検しようすることです

なぜなんでしょうか?この操作は専用のキーがなければ起動・停止ができません。しかし、利用者すべてがこのキーを持っています。一人で操作して中に入って調べているうちに別の所有者の方がパレットを動かしてしまうことが起こり得ます。

作業事故にご注意を!

地下のパレットに降りて点検していると勝手に動かされて挟まれてしまう事故が発生してしまいます。万一そうなってから大声を出しても立体駐車場の造りから機械を作動している時に生じる運転音によって、または閉鎖的空間であるがゆえに、その声は届かないことがほとんどです。もし点検したい場合は必ず2人で行うようにして誤動作にも注意しましょう。

こうした危険がありますので無理に自分で行わず、専門の業者に依頼することもできます。管理室前や掲示板、各部屋に配布されている緊急時の連絡先のリストなどでお探しください。

 

 

この点では管理組合の会合などで事前に話し合っておくことが大切です。こうした緊急時に対応してもらうよう警備会社と契約しているマンションも多いかと思われます。大抵のところでは機械式駐車場の排水異常が発生した場合、警報が鳴るシステムになっています。

その警報が指定の警備会社や緊急のコールセンターにつながっていて、緊急作業員は出動するようになっている場合もあります。自分の住むマンションの緊急対応がどうなっているか、確認しておきましょう。

管理会社が入っていないマンションの場合は特にご注意を。

マンションの立地場所ににもよりますが、低い場所に建てられているマンションの機械式駐車場の場合は確実に対応策を講じておく必要があります。マンションにお住まいの方で立体駐車場をご利用の方は以上の点をしっかり確認して対処していただきたいと思います。

水没をただ見ているだけは嫌だ!

上記の安全を確保して上で何とかマイカーを水没させたくない!」という方は雨水排水用に簡易型の排水ポンプを準備しておくこともできます。立体駐車場のスペースにもよりますが、100V電源で排水させるポンプがあります。もしもの時に準備しておくのも対策の手段と言えます。

リョービ(RYOBI) 水中汚水ポンプ 50Hz RMG-3000 698300A
上記のポンプ以外にもホームセンターなどに同様のタイプのものが置いてあるかと思います。既設の排水ポンプでの排水量が流れ込む雨水に対して追い付かない場合の手段として何台か用意しておくのもよろしいかと思われます。ただし絶対ではありませんので良く吟味してご検討ください。

更新日:2021年7月7日