古い鋳物のトラップ
こんな浴室排水口のお宅はありませんか?
古い戸建て住宅や公団住宅に多くあるのは「鋳物トラップ」です。
つまり鉄製の排水溝トラップが使われています。鉄製は錆びることが必然です。トラップ構造とは水をあえて溜めて「ワン」を置いて溢れる排水が配管から流れる仕組みになっています。それによって臭気を抑えることが可能になっています。
この仕組みはトラップが生きてこそのものです。
腐食でトラップが破損してしまうと意味がありません。どうやって確認できるのでしょうか?まず目皿を取り外してください。回して取れるようになっています。その下に鉄製の「ワン」があるかもしれません。その「ワン」を上に引き上げましょう。
「ワン」の周囲にも錆が生じていることがほとんどです。この錆はドライバーなどで削り落とすことができます。問題なのはトラップ側です。その中には必ず水が溜まっているはずです。その水が無い場合、どこかに穴が開いている可能性があります。
つまり水が張れずにすぐに抜けてしまう状態です。
これですと排水管の臭いがもろに上がってきてしまいます。どうすればいいのか?
排水トラップ管の交換工事が必要です。
これは意外に手間がかかります。例えばタイル床になっていると排水溝周辺を壊して既存のものを撤去しなければなりません。周囲のコンクリートなどを掘削するにはそれなりの道具や技術が要ります。また床下の配管につなげる工事や配管が鉄管の場合はさらに配管の引き直し工事も必要になってきます。
特に古い公団やマンションでは排水管自体が既に老朽化していて自分の部屋だけの問題では無い場合も起こり得ます。たとえ自宅の浴室の排水口を補修工事出来ても、その先の配管に問題があれば全て無駄に終わる危険があります。この場合は慎重に検討する必要があります。
特に戸建ての場合は排水口工事を検討しているなら浴室そのものの改修工事を検討されるのはいかがでしょうか?
この機会にユニットバスに入れ替える
この排水溝のトラブルは修繕のための工事が大規模になってしまいます。
まずはこちらを参照ください!➡お風呂のリフォームをする前に知っておくべきこと そうなれば浴室全体のリフォームを考えてもいいかもしれません。ユニットバスの方がタイルなどより使い勝手がよくなります。排水溝トラップも便利なものになっています。お手入れも簡単になります。
大抵は樹脂製になります。長持ちしますし、腐食しません。カビや汚れにも強くなっています。高額な費用をかけて排水溝や排水管を補修するぐらいなら、ユニットバスに入れ替え工事を行った方がより賢明です。
ただし、スペースや配管の状況によっては浴室だけの工事ではすまなくなることがあります。ユニットバスは組み立て方式の浴室です。そのパネルが浴室まで入らない間取りになっていれば敷居や柱を撤去しなければならず、余計に大工工事が必要になってきます。
戸建の場合は、築年数によっては総リフォームの方が良い場合があります。分譲マンションの場合はユニットバスでの入れ替え工事が困難なケースもありますので、検討の際には慎重に進めていただければと思います。
古い公営住宅(都営・県営・市営)の場合
築年数のかなり経つ公団や都営住宅がまだ存在しています。この住宅では排水口が鋳物の場合が多いようです。今まさに住んでおられる方も多いかもしれません。詰まりや異臭問題などは住宅管理サービスに相談しても対応してくれません。自己責任と言われて終わりです。
ただ公団の建物は構造上決められたもので建てられています。(資材や部品など)勝手に使い勝手の良いものに変える事ができません。ましてや浴室の排水口の工事などは大規模工事に入ります。経済力のある方でしたら個人的に工事しても駄目では無いようですが賃貸住宅なので勿体ないですよね?
どうしても不便であれば移転もやむを得ません。その場合はよくメリット・デメリットを比較検討して慎重にお決めください。
排水口のトラブルは簡単に解消できそうで実は大変な工事に発展してしまう可能性があります。
この機会にぜひご検討ください。
更新日:2020年7月15日