水分補給は大切
暑い季節は熱中症の予防のためにできるだけ「水分補給」を勧められます。
驚くことに人が1日に体内から排出する水分量はおよそ2.5Lです。何も活動しない場合は1.0Lくらいに抑えられるようです。これには尿や呼気または皮膚から失われる水分、発汗などが含まれます。失った水分は補給しなければ補われません。
1日あたり1.2Lの水を飲むことが提案されています。
水分補給にも注意が必要です。飲み方や飲むタイミングを考えなければなりません。特に暑い日は急にキンキンに冷えた水を飲むと内臓が急激に冷えて良くありません。また喉が渇いた時に飲むよりも乾く前に飲むのが理想的です。
コップ1杯程度の水を1日8回くらいに分けて飲むのが理想です。カフェイン飲料などは利尿効果がありますが、日常的にカフェイン摂取している場合は利尿作用への影響が少ないようですので水分補給にも有効と見なされています。ちなみに炭酸飲料も糖分の過剰摂取に気を付ければ水分補給に有用となります。
注意すべきは『水中毒』
そもそも「水中毒」とは何でしょうか?
過剰な水分摂取によって生じる中毒症状のことで、水を大量に飲むことで体内の「ナトリウム」(塩分)が減少し、その結果「低ナトリウム血症」となります。
水分が体内から排出する際に塩分も放出されてしまいます。そこへ水だけを入れると体内の塩分濃度をさらに薄める結果になるのです。つまり体内の塩分濃度が低すぎても健康によくありません。
体内のナトリウムイオンの正常値は約135〜145mEq/l(電解質の濃度単位)です。
- 130mEq/l=軽度の疲労感
- 120mEq/l=頭痛・嘔吐・精神症状
- 110mEq/l=性格変化・痙攣・昏睡
- 100mEq/l=呼吸困難などで死亡
特に夏場は「水中毒」が増加してしまう危険があります。例えば運動して軽い熱中症にかかり意識が朦朧(もうろう)としている状態で周囲の人から水を飲むように勧められひたすら水を飲んだ結果「水中毒」になってしまうことが起こるようです。
『水中毒』にならないためには?
この症状に陥らないためには「水」だけを飲み続けることを避けることです。
つまりこまめに電解質入りの水分を摂取することです。簡単に言えば「塩分」を取り入れることです。例えば「塩飴」とか「梅干し」やナトリウム入りの「スポーツドリンク」などです。
「塩分」と言っても高濃度のナトリウムを含んだものを飲むと逆効果になります。海で遭難した時に「海水を飲んではいけない」と言います。それはナトリウムが多過ぎるとナトリウムの血中濃度を一定に保とうとして飲めば飲むほど喉が乾き水分摂取が促されます。
ところがそこに高濃度のナトリウムを取り入れてしまうとその相乗効果が進みやがて脱水症状となり腎臓の機能に悪影響を及ぼし、排泄機能が低下します。さらには脳細胞にも影響を与え、命の危険となります。
「塩分」の取り過ぎが「水中毒」を引き起こす?
「塩分」を摂取することで「喉の渇き」が促されます。
その乾きを癒すために大量の水を飲むようになります。それが水中毒を引き起こしてしまうのです。夏場はとにかく「塩分塩分」と塩気のあるものを取り続けると、知らず知らず過剰摂取となり海水を飲む遭難者の状態とほぼ同じになってしまう危険が起こり得ます。つまり水を大量に飲むようになるのです。
その他の水中毒になり得る危険とは?
上記に挙げた点以外にも注意が必要なものがあります。1つは「水ダイエット」です。減量やダイエット目的で「水」を飲むことを奨励しているかもしれません。確かに水を飲むことには一定の効果があります。
しかし行き過ぎた水の摂取はこの「水中毒」に陥ります。水は1日最高でも3Lが上限です。それ以上は「低ナトリウム血症」になる危険があります。ダイエットに専念するあまり体調を崩しては元も子もありません。適量の水分補給に止めておきましょう。
もう1つの危険となる分野は・・・
『薬』を飲む時の水分量です。
多くの方がご自分の持病のための処方箋を利用しています。1日に食後とか食間とかに数回飲むように指示されているかと思います。病気などで水が制限されている時以外ではコップ1杯(150〜180mL)ほどが適量と言われています。
十分な水の量で服用するように指示されるのは「下剤」です。もし少量の水で服用した場合、薬が速やかに胃に到達せずに食道などに止まってしまうことが起こり得ます。ある種の薬は胃に到達しないと引っかかったところで潰瘍を引き起こしてしまう危険もあるようです。
薬を飲む場合は十分な水を飲むことが勧められています。
ただし飲み過ぎると返って体に良くありません。薬の量によってはかなりの水を飲まなければならないという方もいらっしゃるかもしれませんね。出された処方箋は医師や薬剤師さんの指示になるべく注意深く従いましょう。
水は生命維持に欠かせないものですが食物と同じで何でも取り過ぎは有害になります。ふさわしい水の飲み方を心がけてまいりましょう!
最後までご閲覧ありがとうございました!引き続き「水道屋さんの水の話」ブログをよろしくお願い致します! by ウォーターマン