高齢化が進む社会に優しい蛇口とは?
水栓金具も時代と共に進歩してきました。昔は「蛇口はひねって出す」ものでした。今ではシングルレバーを使って自在に水やお湯を使い分けることが当たり前になってきました。
使い方も至って簡単で簡単に水を出し止めできるだけでなく、手が汚れていても手首だけで水を出したり止めたりと水栓自体を汚さないように使うこともできます。お湯もレバーの位置で出すことで丁度いいお湯が使えたりして本当に重宝してきました。
更に水栓金具は進歩しています。
「湯側回転角度規制付きシングルレバー水栓」というのをご存知ですか?
何?と思われる方も多いかと思います。これは簡単に言えば高温のお湯を使用させないようにして火傷などの事故が起きないようにする水栓の事です。
KVKさんのカタログから紹介すると・・・
こういう事です。つまりレバーハンドルがお湯側に回転させる際の角度を予め規制しておくことでお湯側に目一杯回して吐水させても高温のお湯が出ることはなく、必ず水が流入される仕組みになっています。これによって常にお湯側を使っても高温なお湯が出ることがなくなります。
この機能が大切なのは住宅や施設の給湯システムと関係があるからです。それによってこの水栓の安全性が生きてきます。どんなケースが考えられるのでしょうか?
電気温水器を使っている場合の危険とは?
電気温水器は深夜電力を使ってお湯を作り貯湯タンクに溜めてお湯を供給するシステムです。そのため常に高温のお湯が溜められておりお湯だけを使用するとかなり熱いお湯が出てきます。水栓にサーモスタットが付いている場合は温度を調節して適温をだせますが、付いていない場合は水側と調合して適温を出さなければなりません。
特に高齢者はそうした調整が困難なため高温のお湯による火傷などの事故が発生してしまう可能性があります。電気温水器をご使用の住宅やマンションではこうした危険が起こり得ます。
ガス給湯器のリモコンによる温度設定が高温の場合の危険とは?
ガス給湯器をご使用の場合は常にリモコンによる操作が基本になるかと思います。温度設定やお湯張りなどもボタン1つで行うことができます。大抵は給湯優先温度とお湯張りの設定温度が自由に選べるようになっています。
高齢者の方の中には、かなり高温で設定している方もおられます。40℃前後が適温と言われていますが、中には50〜60℃に設定している方もおられました。特に温度を感じる知覚神経が鈍くなるのがその理由のようです。知らず知らずのうちに火傷などをしてしまうことも起こり得ます。
そこで開発されたのがこの水栓です。
ハンドル湯側回転角度規制使用のシングルレバー混合水栓にするメリット
何と言っても高温のお湯だけが出てしまう危険がなくなります。
特に高齢者向けの住宅や同居している場合などは、高齢者が1人でよく使う水栓をこの水栓に交換することで安全性を確保できるかと思います。
ただしこのシステムはサーモスタットとは違い、吐水温度を制御できるものではありません。つまり吐水温度は使用環境によって大きく変動します。例えば吐水量が少ないと給湯のお湯の温度が高くなる可能性があります。その場合は止水栓などで流量調整を行ってみることが必要な場合もあります。(サーモスタットとは?コチラを参照⇨お湯が出なくなるのは何が原因なの?)
上記の水栓はKVK製のハンドル湯側回転角度規制タイプのシングルレバー混合水栓になります。 「KM5011TVR2A」定価¥31,300(税別)になります。画像をクリックいただくと商品購入画面にジャンプします。ご必要な方はどうぞ!
取り付けでの注意点
回転規制がかかるため取り付け位置によってはシングルレバーの向きが極端に奥に行ってしまうようなことが起きます。シンクの中央に水栓が設置されているキッチンでは問題はありませんが、中にはシンクの右寄りだったり左寄りだったりします。
その際には水栓金具の中心を斜めにして設置することをお勧めしています。そうすることで回転角度規制のレバーを適性に扱うことができます。ただし使う方の好みにもよりますので中心の向きをどうするかは良く検証して設置してください。
高齢化が進む社会です。設備もより安全で安心できる機能が備わっているものが必要となります。高齢者に優しい水道設備がこれからは大切になってくるかと思います。こうした面でのメーカーの企業努力に期待したいと思います。