マンションの水道は安心して飲めるの?

マンションの水道の仕組みとは?

マンションでの給水はほとんどがブースターポンプを使った給水方式になっています。以前ブログで詳しく取り上げています。こちらも参照ください→マンションの水道水の仕組み

大きく2つのタイプに分けると・・・

  1. 直結水道方式
  2. 受水槽による給水ポンプ方式

まず直結水道方式とは、いわゆる「3直」と言った3階建くらいの1フロアに1〜2軒の小規模集合住宅の場合は直接水道管を繋げて給水させることが可能です。全てのケースではありませんので同規模のマンションで3直になっていない場合は水道本管の呼び径等の問題があるかもしれません。

 

 

もう1つは「直結増圧給水方式」と言うものです。これも以前のブログで解説しています。水道管に「増圧ポンプ」(上記写真)を繋げて給水させる方法です。つまり水道管の途中で水圧を増圧させる給水ポンプがあってその水圧で各世帯の部屋に給水させるものです。

この直結給水方式では水道管からの新しい水が常に各部屋に給水されることになります。しかしもう1つの受水槽を設置して給水ポンプで配水する方式では常に一定量の水を貯水してそれを給水ポンプで配水させるため一定期間溜め水状態になってしまいます。

受水槽の水は安全なのか?

 

 

10トン以上の受水槽には「簡易専用水道法定検査」と言う水質の検査が義務付けられています。もし不当に検査を無視すると水道法第54条第8号により100万円以下の罰金になります。つまり水質はある程度高い基準で貯水されることになります。

ただし受水槽10トン未満の場合には義務付けされていないため管理者やオーナーの任意となっています。この点では衛生的に管理されているかどうかで判断できます。中には定期的に貯水槽清掃を行っているマンションもあります。

気になるのは高架水槽のマンション

 

 

今ではあまり見かけなくなりましたが、依然として揚水ポンプを使った高架タンク式の給水システムを使ったマンションもあります。この場合に地上か地下に受水槽で一旦水を溜めてポンプで屋上に設置された高架水槽に水をポンプアップさせて重力を使って各戸に配水させる仕組みになっています。

つまり受水槽で溜めてからさらに屋上の高架タンクに水を溜めることになり滞留時間がかなりかかる給水となってしまいます。特に夏場は直射日光にさらされるためこうしたマンションでは蛇口の水が生温い状態になって出てきます。ちょっと飲むのには抵抗があるかもしれません。

 

 

ただ基準にある貯水槽には常に水質検査が行われていますので問題がなければ安全な水と言うことができます。ただし雑居ビルやオフィスビルなど日中にしか水道を使用しない建物の場合は貯水槽の滞留時間が異常に長くなるため水質の安全性が保てなくなる危険が起こり得ます。

心配になるのはどんな点か?

マンションの水道の仕組みから考えると受水槽や高架水槽に溜めた水の滞留時間が長ければ長いほど衛生的に安全な状態が保てなくなると言う危険性です。実際、水槽の水の残留塩素を測定すると0.1ppm以上なければなりませんが、ほとんど塩素が検出されない場合もありました。

残留塩素が無いとどうなるの?

 

 

この残留塩素濃度が検出されなくなると殺菌処理ができなくなります。つまり病原微生物を殺菌できなくなります。水が消毒されなくなると雑菌が発生し、その水を飲むことで感染症を発症させてしまいます。過去に赤痢やコレラと言った感染症が水を媒体として広がった経緯があります。

もちろん塩素が万能ではありませんが、大抵の病理微生物も殺菌させる効果が証明されています。

つまり、貯水槽に溜められた水が常に使用されて頻繁に入れ替わっているのであれば心配はありません。しかし水槽内の水があまり入れ替わらない状況になった場合に残留塩素がどんどん揮発して薄くなってしまう可能性が起こり得ます。要因の1つとしては・・・

例えば・・・

 

 

マンションの空き部屋が多くなってしまっている場合です。つまり貯水槽の水を使う容量が少なくなります。そうなると水槽内の滞留時間は必然的に長くなるのではなでしょうか?頻繁に水が入れ替わらなくなると衛生的な状態に保つことが徐々に困難になっていきます。

分譲マンションの場合、人気の有る無しや金額によっては買い手がすぐに見つからないケースもあり、数ヶ月あるいは半年、1年と空き部屋状態が続いてしまう場合もあります。賃貸でも同様かと思われます。

この点ではマンションの管理組合などで話し合われている議題かもしれません。管理会社とも良く相談して空き部屋が極力少なくなるように対策を練る必要があるかもしれませんね。

給水配管の劣化

道路に敷設された水道管は定期的に入れ替え工事を行って配管の良い状態を保っています。公共事業でもありますで忘れたりしないものでもあります。しかしマンションの給水管はどうでしょうか?

 

 

もう1つ心配な面は配管が錆びると言う問題があります。

定期的に調査を入れてライニング工事を行っているマンションも少なくありません。配管の材料を鋳鉄管からステンレス管に交換工事するマンションもあります。

錆びた給水管ですと徐々に小さな錆が水道から出てしまうことがあります。錆は直接毒という訳ではありませんが、あまり体に取り入れたく無いものです。この点ではマンションの耐用年数に応じて大規模修繕工事の予算に含められているマンションもあります。

そうでない場合は「異物が水道水に紛れていないか?」気を配る必要も出てきます。

今回は不安な要素を取り上げてきましたが、マンションの一個人がどうこうできるものではありません。心配な点があるならしかるべき仕方で解消できるように住人同士で話し合いましょう。あるいは管理組合があれば管理会社と解決を図るよう努めてください。

お勧めの解決策とは?

それは「直結増圧給水方式」です。

 

 

前に取り上げました、水道管に繋げる増圧ポンプによる給水の方法です。大抵の規模のマンションでも十分に給水を賄えます。最大のメリットは貯水槽が必要ないことです。水道管から水を直結させています。常に水道管からの新鮮な水道水が配水されます。

詳しい情報は各ポンプメーカーにお尋ねください。お問い合わせページをいくつかご紹介します。

テラル株式会社https://www.teral.net/inquiry/contact_e/

荏原製作所https://ebara.co.jp/contact/product/fms/pump/index.php?contact_group=pump

川本ポンプhttps://www.kawamoto.co.jp/contact/

個人で行える安全対策を十分に行って安心できる水道ライフを送って参りましょう!