マンションの水道水の仕組み

マンションでの給水の仕組み

マンションなどの集合住宅では必ず給水ポンプを使った配水システムが設置されています。これは水道本管からの給水量が戸数が多ければ多いほど供給ができなくなるからです。水圧にも影響を与えてしまい十分な給水量が供給できません。

そのために給水用のポンプが設置されています。

 

 

先日のブログにもとりあげましたが、これまでは「受水槽」に水を溜めてポンプで加圧して送水しているタイプが主流でした。この「加圧式ポンプの給水方式」について少し取り上げましょう。

加圧式給水ポンプとは?

 

この方式では受水槽(貯水槽)から水を引き込んで給水ポンプで配水管に水を送ります。この管はマンションの各部屋の量水器(水道メーター)を経由して各部屋内に繋がっています。

 

 

給水管には一定の圧力が加わっていますので、各部屋で水道を使用すると、当然給水管の圧力が下がります。ポンプにはその圧力を感知しているセンサー(圧力センサーまたは圧力スイッチ)があり、ある圧力の数値にまで下がるとポンプを起動させる仕組みになっています。

では停止するのはどうやって行うのでしょうか?各戸で水道を使わなくなると給水管の水圧が高くなります。配管の水量が上がりその流量を図るフロースイッチと言うセンサーがそれを探知してポンプに停止信号を送ります。

そしてある程度の圧力に達すると自動的に停止する仕組みになっています。大抵ポンプユニットは2台で1セットになっており、No,1ポンプ・No,2ポンプとなって自動交互運転させています。

交互運転とは何か?

給水ポンプに運転稼働率は世帯数にもよりますが、かなりの頻度になります。水をずっと使い続ければポンプは止まることなく水を送り続けます。つまりモーターが回りっぱなしになるわけです。ただし、一瞬でも送水管の水が止まればポンプは停止します。

交互リレーが働く

しかしまた水を使いだすとポンプが動きます。その際にNo,1が動いた後は、次に動くのはNo,2のポンプになり、1台に負荷がかからないようになっています。つまり交互に運転する仕組みです。

モーター部にはコイルと呼ばれる部分がありますが、連続で運転し続けると発熱し、ひどい場合には焼けて(溶ける)しまう危険があります。そうならないための運転方式が交互運転です。

 

 

受水槽のデメリットとは

この受水槽を使った給水方式には、いくつかのデメリットがあります。それは何でしょうか?

受水槽に水を溜めることにより、水の鮮度が下がることです。よくマンションの水はまずいと言われるのはこの理由もあります。受水槽の大きさが10㌧以上であれば水道法で定期清掃と水質検査が義務付けされています。

 

 

10㌧未満の場合は受水槽の清掃や水質検査は任意となっているため、余程きちんとした管理者かオーナーでなければ、ほとんどの場合何もされず放置気味になっているケースが多いと思われます。

その理由には定期清掃や検査には費用と時間がかかるからだと考えられます。

中規模なマンションでは管理費や積立修繕費といった費用を毎月徴収されているかと思いますが、そこから費用が当てられている場合もあります。管理会社が入っていれば大抵は行われているかと思います。

ただし小規模なマンション(10世帯前後)では管理会社を持たずオーナー管理となっているところもあります。オーナーは個人ですので、給水ポンプの維持管理に費用がかかり、その上定期清掃を入れるとなるとランニングコストがかかり、受水槽の管理がきちんとなされていないケースもあります。

マンションは必ず受水槽が必要なのか?というとそうではありません。直結増圧給水方式というものがあります。

 

「直結増圧給水方式」とはどいうものか?

 

 

これはどういう給水方式なのか?

大きな違いは、もはや「受水槽」を必要としないことです。水道管から「増圧ポンプ」に直結させて直接、各部屋に給水させます。つまり水道管からの水がそのまま届くので新鮮です。実は私が以前に住んでいたマンションがこの「増圧ポンプ」でした。

この名前に由来は、読んで字の如く水道管からの圧力にさらに圧力を増加させて配水させるもので「増圧」と呼ばれます。このタイプが今では標準的になってきました。冒頭で挙げた加圧式給水ポンプのマンションがこの増圧ポンプに入れ替えるところも増えてきています。

 

 

ただし、単純に交換すればいいのか?というとすべてがOKではありません。条件があります。マンションの給水管の状態によっては圧力を維持できない可能性があり、そのため「圧力試験」というものを行って大丈夫であれば交換が可能です。

駄目な場合(圧力に弱い)は新たに給水配管を引き直すことが必要となります。また増圧ポンプは加圧ポンプより高額なため総額を考えて断念されるマンションオーナーさんもいます。ただ受水槽の維持管理は無くなり、空いたスペースを有効利用できます。

直結増圧給水ポンプはメンテナンスフリーではありません

増圧ポンプの仕組みは、加圧ポンプとそれ程変わりはないのですが、水道管に直結させるために逆流して水道本管を汚染させてしまうことを防ぐために「逆流防止装置」が取り付けられています。

 

 

通称「逆防弁」(ぎゃくぼうべん)と呼んでいますが、この装置の点検が義務化されていたと思います。「圧力検査装置」なるものがあり、その装置が正しく機能しているかを調べます。

以前の仕事ではこの検査も行っておりました。それは弁の内圧がきちんと保たれて開閉が正常になされているかを特殊な圧力計を使い測定するものでした。

マンションの水道の仕組みについて簡単ではありましたが取り上げてみました。この他にもマンションの給水システム上、貯水槽を使わなければなりませんが、そのタンクにも異常が起きることがあります。

どんなトラブルなのでしょうか?興味のある方はこちらもご覧ください!➡受水槽に異常が生じる

更新日:2020年7月20日